2009年04月20日

バオバブの木

Photo_2 『バオバブの記憶』という映画を、見ました。

監督さんは『アレクセイの泉』と同じ本橋成一さん。

西アフリカ・セネガルの村の暮らしの、ディテールのひとつひとつが、こころに沁みました。

青空の下でお料理。青空の下で、大きなボウルを囲んでみんなで食べるごはん。

朝のお風呂も、午後のお茶も、お昼寝も、珍しくテレビを見るときも、全部、空の下。

干した葉っぱの加工や、杵での脱穀作業、農作物の植え付けや収穫、牛追いなど、いろんな仕事も、みんな、空の下。

子供たちがすもうをとったり、枝で木の実を落としたりして遊ぶのも、もちろん、大空の下。

まるで、お空が、屋根のよう。

そして床は、きれいに葉っぱやごみを取り除いて、掃き清めた地面。

そうやって暮らす人たちを、バオバブの木は、ずっと守ってきたみたいです。

よじ登られたり、皮を剥がれたり、実を落とされたり、葉っぱを刈られたり、いろいろされても、おおらかにそこにいて、バオバブの精霊は人にやさしいのでした。

* * *

アワさんというお母さんが、とてもすてきでした。

Photo_3 ふくよかな体つきで、いつも、黒い肌に映えるカラフルで心地よさそうな服を着て、頭にもおそろいの布を巻いて、

大家族のごはんを作っているときも、気の合う第二夫人と一緒に歌いながら花摘みをするときも、双子の子供たちをゴシゴシ洗ってお着替えをさているときも、祭りの踊りの輪に入っているときも、いつも、おおらかに笑っているのでした。

祭りでは、2人の女性が向き合って踊るときの迫力が、まるで闘いをしかけているかのように見えたりしたんだけれど、アワさんの踊りはまったく朗らかで。。。

(写真ではすこしわかりくいけど、右端の白地の服を着ているのがアワさん)

posted by な at 15:06| Comment(0) | えいが

2008年11月13日

嘘のあり・なしとは

お気に入りの下高井戸シネマで先日「ぐるりのこと。」を見ました。

わかりやすい感動ではない、言葉にならないことが、丁寧にたどられていく映画でした。上映後にとなりを見ると、鼻が真っ赤な人がいた(泣きすぎ)。でもわたしもおんなじだったみたいです。

橋口監督、すごい、とおもいました。男とか女とか、被害者とか加害者とか、いい人とか悪い人とか、同性愛とか異性愛とか、そういうわかりやすい分類を、ほんとうに越えてる視点がありました。

なにも安易に「昇華」しないし、かっこつけようとしたり、笑いをとろうとしたり、答を出そうとしたりといった、といった「作為」も通り越していて。

作り手に嘘のない映画だな、と思いました(映画っていうメディアは、そもそも存在自体が嘘なのに)。

役者さんの演技とかストーリーラインとかセットのディテールがどうこうってことじゃなく(それらもここまでやるかっていうほどリアルなんだけど)、なんか、なぜか、そういう次元ではない次元で、嘘くささがない感じがしました。

ほんの少し前の時代の「空気感」を再現していたところにも脱帽しました。今とははっきり違うような一昔前の時代よりも、まだ今と地続きの、ほんの数年前の時代の空気を再現するのは、ずっと難しそうなのに。。

予告編

posted by な at 18:19| Comment(0) | えいが

2007年10月30日

ハロウィンといえば

今日の「ねこ温度計」(このブログの右側に載せさせていただいてる)は、ハロウィン仕様です。

ハロウィンが来ると、おばあちゃんとリバー・フェニックスのことを思い出します。2人ともこの時期に他界したので。。。

この時期は、おばけの世界がこちらの世界に一番近づくときだから、この時期に他界すると、ひょいっとあっち側へ行けてラクなのだ、というようなことをどこかで聞いて、「そうか、よかったな」と思ったのを覚えています。

リバーの命日は31日。彼の出ていた作品で、特に印象に残っているのは、『旅立ちの時』(過激な反戦活動のために指名手配されている両親を持つ息子役)、『リトル・ニキータ』(両親が実は秘密工作員だったことを知る息子役)、『モスキート・コースト』(現代生活を離れて中米のジャングルの中で暮らすことにした発明家一家の息子役)。いずれも、自分が置かれている特殊なシチュエーションに対応している彼には、独特のかげりのある存在感が立ちのぼっていました。

なんというか、けなげなのと、せつないのとが、ごちゃまぜというか。まあ、この存在感のてざわりは、『スタンド・バイ・ミー』の頃から一貫していたけれども。。。

デビュー作『エクスプローラーズ』から遺作『愛と呼ばれるもの』まで、考えてみるとリバーが出た映画は全部見ています。。。自分でも少しフシギ。そんなに好きだったっけな。。。(とこんなふうに昔を振り返っているのは、今水星が逆行中だからかな?)

遺作『愛と呼ばれるもの』は、意外とすきでした。どこがツボなのか自分でもわからないくらい、どうということもない映画な気もするんだけれど、カントリーミュージックがテーマになっていて、ナッシュビルが舞台で、「ギター1本持って、あとはなにも持たずに、音楽で生きていこうとする」みたいなドリーミングがあったところかな。。。

リバーも、ほんとにやりたかったのは芝居よりも音楽だったらしい、と聞いたこともあるし。。。

でも彼が出ている映画の中で、わたしの一番のお気に入りは、『マイ・プライベード・アイダホ』です。やはりせつないけれども、でも、この映画はいいです、絵がいいーーー。

目が喜ぶ映画でいうと、今まで見た(ほんとに限られた数の)映画の中でも一番映像にノックアウトされたのは、ゴダールの『愛の世紀』でした。不思議と内容はぜんぜん思い出せないけれど、絵は思い出せて。

ああ、もうそれは、こころに染み入るのでした。

posted by な at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | えいが