2010年06月04日

牛のこと

Img_6539 十牛図に取り組んでいるときに、口蹄疫のことが起きて、二重の意味で、どうにか牛を、もうすこし自由にできないものか、と考えていました。

先日、十牛図の第5図を描いたときも、「殺処分」になった牛のことをどうしても考えてしまいました。

第5図は、ひもをつけた牛を牧童が引いている、という図。

牛は牧童に引かれている、けれどそれは、牛のほうが「引かせてあげている、ついていってあげている」。そして牛はおなかに宇宙を宿している。描いているとき、そんなことを思いました。

(感じたとおり描く技量もないので、実際に描いた絵は、あれですが。。(汗)

* * *

口蹄疫をめぐっては、ばくぜんと祈るばかりで、情報の交通整理もできてなかったけれど、昨日届いた知人からのメールが、ためになったので、転載します。

よかったら、ご参考に。(じろーさん、ありがとう)↓

宮崎に住む友人からの声が届きました。

先週、5月26日(水)、宮崎ブランド牛“尾崎牛”を
取り扱っている宮崎市内の畜産業者、
尾崎畜産代表の尾崎さん(宮崎県農業法人経営者協会副会長)
のお話を聞いてきたそうです。

その要約を以下にお伝えします。
(転載転送、お願いいたします)

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●尾崎畜産代表・尾崎宗春氏(宮崎県農業法人経営者協会副会長)
「宮崎県で発生している口蹄疫の現状について 」

●5月26日(水)夕方6時30分〜
●門川町商工センター

●主催:宮崎中小企業家同友会


☆☆☆


・4月20日に発生した口蹄疫、5月末現在も10
件〜15件ペース、
多いときは8,000頭ペースで感染は拡大中。
消毒の進んでいない南へ南下している。


・口蹄疫は畜産業にとって一番恐ろしい“疫病”である。
BSE、狂牛病よりも恐ろしい。

 →子豚、子牛が感染して死ぬ。病気で死ぬのではなく
口、足、蹄がただれ立てなくなって母乳が飲めなくなり死ぬ。
菌では死なない。
500倍に薄めた酢で死ぬくらい菌自体は弱い。
殺処分して埋めると短期間で消滅する。
えびのが収まったのはスピーディに殺処分が進んだため。
逆に対処の仕方を間違えると今回の様なケースになる。
(感染が止まらない) 通常は、一件出た時点で軍隊を使い
500メートル完全封鎖。殺処分。3週間隔離。


・今回ワクチンを打つのに国がためらい時間がかかったのは
ワクチンを使った時点で“汚染国”とみなされ輸出できなくなるため。
ワクチン=口蹄疫ウイルスだから。
日本の畜産はソニーのビデオやパナソニックのテレビのように
輸出商品となっている。ワクチンを打つと広域で殺処分。
輸出停止。輸入の割合が増える。国内で畜肉が作れなくなると、
安全性も担保されないまま値段も品質もすべて諸外国言いなりに
なってしまう。

 →口蹄疫が国力を低下させると言われている。


・1997年イギリスででたときはコブラという
テロ対策組織・陸海空軍を使って30キロ完全封鎖して全頭殺
処分した。
30万頭。それでも防ぎきれず最終700万頭殺処分。1兆
5千万の予算。

 →口蹄疫は人間とウイルスとの戦争。
10年前でた時は一件目で30億円の予算を投じて初期で抑え込んだ。
今回は認識が弱く初期の段階で全頭殺処分という対応などに全く至
らなかった。
最初にでた時点で人間が感染媒体ということが分かっているのに
10号線などもGW中人通り多い中全く対応せずに人の流れも
垂れ流しにした。


・一頭の豚からでるウイルスの数は3兆個。
一頭で一万頭感染させる菌が口蹄疫ウイルス。台湾は2週間で300
万頭。
イギリスは軍隊で30万頭殺したにも関わらず羊合わせて
700万頭殺した。


・なぜ現在感染が広がっているのか?

 →感染する頭数に対しての埋却が間に合わないから。


・洋服についた口蹄疫ウイルスは3週間残る。


・今現在、殺処分対象は37万頭。


・行政の人員確保が後手なのと、川南は水田が多いのも
埋却が遅れているひとつの原因。水がでて埋められない。
梅雨、台風が重なるとさらに埋却が進まない。


・都城周辺の畜産を守りたい。それがあればまだ希望がある。
そのための埋却地確保、人員確保のためのお金、マンパワーが必要。


・一日殺処分数は3,000〜5,000頭。


☆☆☆


現在、全国からたくさんの義援金が県に送られているようでが、
県としては、口蹄疫収束後の経済支援として
配分することしかできないそうです。
しかし、現実には、人を動かすためのお金が必要です。
そこでこの会を主催した宮崎中小企業家同友会でも、
県弁護士会とともに「緊急ボランティア支援基金」を開設しました。


支援基金については、以下です。


・この基金は、現場作業に関わるボランティアさんたちの日当・交通費に
 充てられます。
・なお、該当地域に現在、県外の人は入ることができないため、現在の
 ボランティアは宮崎県内の人、主に既に処分を終えた畜産農家さんなど
 が中心になります。
・ボランティアの募集、派遣は宮崎県のNPO法人「みんなのく
らしターミナル」
 が行ないます。
・先々は県外からもボランティアの募集が始まるかもしれません
が、現在は未定。
・宮崎県弁護士会がこの基金に500万を提供するとともに、全
国から募ります。


振込先はコチラから。↓
http://www.miyaben.jp/sienkikin.htm


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

* * *

もうひとつだけ。ケニアで野生動物のお医者さんをしている滝田明日香さんによると、牛の口蹄疫、マサイマラ国立保護区の牛たちには、「結構普通に見られる病気」だそうで、そして、「マサイのゼブー牛は、他の牛種と比べるとほとんど症状も出ません」ということです。↓

「マサイマラの牛の口蹄疫」
http://blog.excite.co.jp/mottainai-lab/10734275/

posted by な at 00:10| Comment(0) |

2010年03月04日

透きとおる

昨夜は鎌倉ソンベ・カフェにて、Walk9・韓国巡礼の報告会に行ってきました。

懐かしい面々の元気なお顔を見れただけで、お腹いっぱいでした。

スライドを映しながら、おひとりずつ、各地点の報告をしてくださって、お話を聞きながら韓国1周できるように工夫されていました(駆け足だったけれど。。)。鮮やかにWalkの様子が開かれていきました。

でもお話も写真も、興味深かったけれど、なによりいちばん印象に残ったのは100日一緒に歩いたメンバーのみなさんがまとっている、透明な空気感でした。デッパリや濁りがない感じで。。サラサラしているのでした。

ありがたいことでした。

(ぢ)さんが描いたという、絵がかけられていて、後半のライヴの音楽を聴きながら眺めていました。下半身が人魚の女神が数字の「9」を抱いている構図なんだけれど、見ていると、その「9」が♀と♂のデッパリ部分を取り除いた、人としてのエッセンスのように見えてきました。

まるで生き物のような「9」。

それを腕に抱く女神さまは、髪に大宇宙を宿していて。。。ポニョに出てくる大ーきいお母さんを思い出しました(見た目はぜんぜん違うけれど)。

女神さまは胸も豊かで、人魚の下半身の尾びれはきれいに2つに割れて反り返っていて、♀と♂のでっぱり部分を両方そなえている感じでした。

すごい絵だなーと思って、描いた(ぢ)ちゃんにお話をきいたら、「とりつかれたようになって、3日間、のまずくわずねずで描いた」とのこと。ひゃあ。

* * *

Photo そしてここ数日、よく思い出すのが、先日の有元利夫展で見た素描やリトグラフの人物の表情です。

いわゆる「笑顔」は1つもありませんでした。あの中間領域の人々は、口をニッとしたり、ほっぺたをむにゅっとさせて笑う、ということをしないのです。

でも内側に明るさを宿していることが、伝わってくるんです。

たぶん、まなざしが透明だからです。

あの領域の人は、もう、人間界の流儀での笑いからは離れて、もっとずっと軽やかで微細な明るさとともにいるんだなーと思いました。

とても真剣なまなざしの人もいましたが、真剣だからといって重たくならならず、透きとおっているのでした。

そしてやはり、性別不詳なのでした。男性にも女性にも見える。。。

あの存在感を、折に触れて思い出しています。

posted by な at 19:33| Comment(0) |

2010年02月27日

よりどころ

Photo小川美術館の有元利夫展に行ってきました。

毎年、命日にちなんで開かれるもので、毎年通っているんだけれど、ことしは作品構成がグンと違って、リトグラフと素描と立体が中心でした。

没後25周年なので、郡山の美術館で大規模な展覧会が開かれていて、油彩はのきなみそちらに貸し出されているもよう。

でも今まで生で見たことなかったものばかりだったから、新鮮でした。

時間の染み込み方が、油彩とは違うんだなぁって思いました。

あわやい、かすれがすれのものを受信して紙に写しとったような素描、印象に残りました。

有元さんの絵と会うとき、わたしは、ちょっと覚悟を決めて、「自分を捨てて」見るようになっています。年に1度展覧会に行くのを、何年か続けるうちに、そうなりました。

自分を上手に捨てることができると、絵にチューニングしやすくなります。

中間領域にいる、絵の中の人がすごく近しい存在に感じられてきます。この領域に目を向けること自体、いつも忘れているから。。そことつながれただけで満たされていくものがあります。

あと今日は、木彫りの馬の背中が呼吸で動き出したのでびっくりした。。。

小川美術館での展覧会は明日28日まで。
郡山市立美術館の回顧展は、3月22日までやってます。

posted by な at 22:19| Comment(0) |