アレン・ネルソンさんという、ベトナム戦争のときにおよそ13ヶ月間、最前線で戦闘をして過ごした元アメリカ兵の方が、来日されていて、昨日、うちの近所にお話に来られました。パートナーに誘われて、聞きに行きました。
ネルソンさんは、お話に入る前に、ギターとブルースハープを奏でながらAmazing Graceをゴスペルバージョンで歌いました。
後から歌の内容を質問されて、ネルソンさんが教えてくれたところによると、Amazing Graceという曲は、アフリカの人を奴隷として連れて行く船の、船長だった人が、作った曲だそうです。この船長さんはある晩、夢で啓示を受けて、奴隷としてアフリカの人を運ぶことをやめる決心をしたのだそうです。これが、奴隷制が廃止される発端になったのだそうです。
この船長さんが夢のお告げで心を変えたように、ネルソンさんがこうして非暴力と平和のための活動をするようになっていったいきさつも、とても有機的なプロセスだったことが、印象的でした。
その内容はご自身の著書にゆずるとして(上の画像をクリックすると本の詳細が出ます)。。。
ネルソンさんが、軍隊に入ってアメリカ本土と沖縄の基地で、どんな訓練をしたのか、実際に戦場へ行ってどんなことをしたのか、どんな音やにおいや光景がそこに広がっていたか、ご本人が体験したことを、お話されるのを聞きながら、途中、目を閉じると、そのベトナムの熱帯のジャングルでの光景が目に浮かんでくるようでした。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)のために、戦場での体験をこうして語れるようになる前に、18年間のセラピーが必要だったそうです。
お話を聞いてよくわかったのは、
映画「ひめゆり」を観たとき同じく、本物の戦争がどれだけ壮絶かということ。。。
そして、軍隊という場所の特殊な訓練は、「暴力」と「殺し」がスムーズにできる人間をつくることに集約されていること。教育(洗脳)というものが、どれだけパワフルかということ。
軍隊に入る人は、ゲットーやスラムで貧しい生活を強いられている家庭の子供たちだということ。
(戦争映画や、兵士を英雄としてたたえるさまざまなイメージ、ゲットーやスラムの小さな世界を出て海外の地へ行ってみれるチャンス、お給料をもらえる仕事につける展望、なにかの教育を受けられる展望。そういったものに、惹かれて入隊していくのだそうです。学校に勧誘にくる軍の係官は、「ごみ収集係」でしかない仕事に「環境スペシャリスト」といった名前をつけるなど、実態とは違う印象を持たせてリクルートしているんだそうです)。
* * *
ネルソンさんの本には、「この日本という国もまた、ある意味で私と同じような病(PTSDのこと)を抱えているように見えるのです」とあって、はっとしました。
「日本の戦後が終わっていない」という漠とした感覚を、なぜかわからない次元で私も共有しているのだけれど、その理由が、ここらへんにあるんじゃないかな、と思いました。
わたしは、どこかで、どうしてわたしが戦争についてこんなに考える必要があるのかな?と思っている部分もあります。もっと個人的な、快いこと、気持ちいいこと、美しいことだけに気を向けていたいところが、本質的にはあるみたい(私のネイタルの太陽が金星と合だからかな。。。)。でも、
最近の日本政府の、”愛国心”を促す教育方針や、自衛隊を”軍隊”にしそうな動き(憲法を変えるという方向性)は、ほんとにとっても気がかりです。