2017年04月05日

Kokuaのスピリット

記憶力がガタ落ちしてから、わたしのメモリーデバイスになりつつあるこのブログです。。。

いろいろ書きとめておきたいことがあった今回の旅だったのでした。記憶があるあいだに、順繰りに、少しずつ書いておこうと思っているところ。。。

* * *

Img_0236 ノースショアのハレイワの、(きゃ)さんのおうちで私たちが泊まらせてもらった部屋には、小さな机があって、その上に、Tシャツの胸のロゴ部分が見えるように折りたたんで小さな額縁に入れたものが置いてありました。額縁もTシャツもくたびれていて、見たところ年代物みたいだった。

無地のTシャツの胸のところに「KOKUA」とい文字がただ書かれているだけのシンプルなTシャツです。

あまりにさりげなくそこに置いてあって、相方はその存在に気づかなかったほど。

わたしも額の中でTシャツの右端がへにょっとずれたまま、ホコリもちょっとかぶってそこにあった、そのくたびれ加減に、そこまで深くは気を留めずにいました。

帰りの飛行機で、時差ぼけ対策で一切寝ずに過ごそうと、インフライトの映画や番組を見まくっていたのだけど(ハワイアン航空はハワイ関係の映画や番組が充実していて、最初から終わりまでハワイ関連のものだけ見ていられて、すばらしかった!)、ハワイの伝統食を掘り下げるのがテーマの番組で、ホストを務めていたハワイ出身の有名シェフ、エド・ケニーさんが、あの額縁に入ってたTシャツと同じのを着ておられたシーンがあって、あ、と思いました。

日本に帰国してから、そういえばあのTシャツはなんだったんだろう?と思ってしらべたら、ジャック・ジョンソンさんがKokua Hawai'i FoundationというNPOのためのチャリティイベントとして音楽フェスをやっていたときの記念Tシャツだったみたいでした。

Kokua フェスの音源を集めたアルバムも出されていて、そのアルバムの表紙がTシャツのロゴと同じでした。Kokuaとはハワイ語で「助け合い」とか「エイド」とか「へルプ」を意味する言葉。

ノースショアといえばジャック・ジョンソン。。だから(きゃ)さんのおうちにあのTシャツが飾ってあったのも不思議はなかったわけでした。

そんなわけでKokua Hawai'i Foundationのサイトにたどりついたのだけど、そしたらサイトのカバーページに見覚えのあるロゴがありました。「Plastic Free Hawaii(プラスチックのないハワイ)」というロゴ。

(きゃ)さんちの近所の自然食品店で見つけた、持ち運び用のカトラリーセットに、おんなじロゴがついてたのでした。

20170405_10_47_59 20170405_10_49_38 お箸とナイフ、フォーク、スプーンがみんな入ってるけどすごく軽くて、コンパクトで、なかなか秀逸なこのカトラリーセット。

よく見ると、空色の袋はリサイクルPET製で、ゴミとして埋め立て地行きだったペットボトルを再利用していると書いてありました。

20170405_10_48_07_2 袋のふた部分の「Plastic Free Hawaii」というロゴの下には、よく見ると「A program of the Kokua Hawai'i Foundation」と書いてありました。

Kokua Hawai'i Foundationは環境教育の支援・推進活動をしているNPOだそうで、プログラムの1つとして、プラスチックのないハワイに向けて活動していたんですね。プラスチック製品の使い捨てを最小限にしていくことの健康面・環境面のメリットを知らせるためのツールやトレーニングを、学校や企業、地域コミュニティ向けに提供しているそうです。プログラムの一環で、ビーチクリーニングや、こうしたリユーザブル・カトラリーの販売もしていたのでした。

このカトトラリーセットを一目見たとき、軽くて小さくてキャンプに便利だなあ!と思ったけど、本体には「TO GO WARE(テイクアウト用カトラリー)」と書いてあって、ごはんをテイクアウトするときなどの普段使いが想定されているようでした。

思い返すと私もオアフ島滞在中、外食やテイクアウトをする中で、なんどもプラスチックのフォークやスプーンを使い捨てするはめになりました。博物館や公園内の食堂などでご飯を食べると、プラスチックのフォークと紙皿などで出されて、食べ終わるとまるごと全部、大きなゴミ箱へ入れるのです。プラスチックと燃えるゴミの分別もなしでした。。。

20170405_12_00_54軽い手荷物の旅にしたくて、荷物を最小限にしてきちゃったので、お箸だけは持ってたけど、今回は野宿しないし、と思って、持ち運び用のフォークやスプーンは置いてきちゃっていました。でもたまたまハワイ到着翌日に小さな売店でアウトドア用フォーク兼スプーンを見つけて(ドイツのメーカーのだったけど)即買い……。

なのでその後はお箸も、スプーン兼フォークも、いつも持ち歩いていたわけだけれど、お店で当たり前のようにプラスチックのカトラリーを出されると、ついもらってしまって、自分のを使いそびれてしまってました。。。(後悔)。よその地で、まわりに溶け込みたい、と思うと、つい、みんなと同じようにしてしまうへなちょこな自分です。

ほんとに、このへなちょこは、どうにかしたい。。。

Kokua Hawai'i Foundationの活動を、これからも応援したいし、自分のへなちょこ改善活動にも、もっと取り組みたいです。

愛と尊敬をもってお互いに接するハワイのAlohaのスピリットは、地元の人と接する中でほんとうに身に浸みたけれど、AlohaのスピリットにこのKokua(助け合い)のスピリットが連なっていることは、そうだよな、うんと自然なことなんだな、と思いました。

Img_0454Img_0459 Img_0456 余談:ハワイアン航空はインフライトプログラムも充実していたけれど、シートベルトや非常口の案内動画もイケてました。すべてハワイの風光明媚な場所で、ハイカーやフラダンサーやカヌーの漕ぎ手やサーファーの皆さんとロケ撮影されていて! 非常口の場所は砂浜に描いた飛行機の上で示されたり。非常口の方向をフラダンサーの方が踊りながら示してくれたり。とてもよくできていて感心しました。

おちゃめでかわいらしくて美しい動画でした。これもAlohaのスピリットだなあ。。。と思った。

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2017年04月04日

(きゃ)さんの自然な暮らしと、カヌーと、ワイメアの谷

遠出の旅から帰ってそろそろ1週間です、ようやく身も心もおうちに戻ってきた感じです、ほんとにゆっくりだ。。。そして旅を振り返りつつ仕事してます。

Img_0414 ハイビスカスでシャンプーがつくれること、オアフ島のノースショア(ハレイワ)でお世話になったおうちの(きゃ)さんに教わりました。玄関先に咲いてた赤いハイビスカスの新芽や葉っぱをひとにぎり摘んできて、水を張ったボウルに入れて、もみもみ。。。 そうやっていると、とろんとした成分が出てきて。。。あわい緑がかった、とろんとした液体になったら完成です。Img_0231

頭を洗う時は、これをつけて髪をもみもみしたあと、洗い流す前に少し置くのがポイントだそうです。やってみたら、髪がふんわりソフトになったのを実感しました。

Img_0232 ハイビスカスのシャンプー、いいです。しかも、もみもみしたあとの新芽や葉っぱや花は、まるでゆでたモロヘイヤそっくりで、お醤油なんかで和えてみたらおいしく食べられました♡ 無駄がない。。

Img_0243 Img_0421 Img_0339 (きゃ)さんちは、裏庭にバナナやココナツ、カカオ、マンゴー、パパイヤ、パンの実(ブレッドフルーツ)なんかがなっていて、少し離れたところにある畑では大根なども育てているそうで、朝ごはんにはパンの実の炒めものや、カカオとバナナのデザート、マンゴーとココナツとスピルリナとライスミルクのスムージーなどをつくってくださいました。Img_0410顔をあらっていたら、裏庭で「ゴンッ」と音がして、なにかなあと思ったら、(きゃ)さんがココナツを取ってた音だったり。。。Img_0408刃物で割って、中の白いところをかき出して、スムージーに入れてくださいました。

生ゴミはみんな、庭を駆け回っている鶏にあげるというシステム。これも無駄がない。。庭にはコンポストトイレと、アウトドアお風呂も手づくりされていました。 Img_0425Img_0423_2

  家の裏手には川と池があって、泊まった最初の晩は、春休みの近所の子どもたちが夜遅くまで川でカニとりをして盛り上がっていました。くたびれてなかったら見に行きたかった。。

不思議と日本通で、家に帰って来ると「ただいまー」と言う(きゃ)さん。「ただいま」だけを習って「おかえり」は習わなかったらしく、私たちが帰ってきて「ただいまー」と言ったときも「ただいまー」と返してくれてました^^; なんで日本語そんなに知ってるの、と聞いたら、以前ピースボート乗船者向けのプログラムを担当したことがある、とおっしゃってた。

友達が釣ったというAkuという大きな魚(サバみたいな魚)を持って帰って来ると、まるごと特大の鍋にごんっと入れて、水と大根と薬草とを入れてことこと煮てスープもつくってくれました。海の人の料理、という感じ。。。朝ごはんに海苔と一緒にいただきました。

(きゃ)さんは食とヨガのスペシャリストでもあって、朝起きて顔をあらってリビングに行くと、すでにリビングにヨガマットが敷いてあって、(きゃ)さんと、ヨガの生徒さんらしき女性が1人いらしていて。あと2枚余計にマットが敷いてあったので、「他にもっと生徒さんがいらっしゃるんですか?」と聞いたら「これはきみたちのぶん、さあ」と。いきなりヨガセッションの始まりでした。宿泊代に朝食とヨガセッション代が込みだ、というのはなんとなく知っていたけれど、前夜に何もそういう話もなかったので、突然でびっくりした。(きゃ)さんは何時からこうしますよ、とか言う人ではなくて、その場の流れに合わせて、とてもイージーにものごとをやっていく感じの人。口数が少なくて(少なすぎてこの突然のヨガセッションみたくいろいろびっくりしたけど)、静かな存在感で、でも笑うときはカラッと笑うのでした。ヨガの指導もゆるやかで的確で、とても気持ちよくできて、休まりました。

空色のビーチクルーザーも貸してくれて、浜までの気持ち良い道を走りました。ピストバイクは初めてで、緊張した。。けど慣れるとかえって快適でした。ペダルでブレーキできるって楽です。片手にサーフボードもってたらなおそうなんだね、きっと。

Img_0324ノースショアはサーフィンで有名な街だけど、この2月にはノースショアコミュニティのみなさんと、ホクレア号のキャプテンとナビゲーターをつとめたカマキさんとでつくった新しいアウトリガーカヌーも処女航海をしたばかりだそう。

アウトリガーカヌーはハワイの伝統そのもの。ホクレア号は私と相方にとっても大きな存在で。。。歩いていたら、たまたま浜でこの新しい双胴カヌーに出くわして、うれしかったです。

Img_0321Wanana Paoaというこのカヌーの名は、ノースショアのワイメア湾沖の小島から命名されていて、これからのノースショアはサーフィンと観光だけでない、もっと大きなものを体現する場になっていくんだ、という地元のみなさんの心意気を、後でネット上の記事で知りました。

そんなこんなで、たまたまAirBNB(民泊)で見つけて泊まらせてもらうことにしたおうちだったけど、いろいろうれしいおうちでした。歩いてすぐのところに大きな自然食品店もあるし、居心地100点のベジカフェもあるし、バスでちょっと行ったところにはワイメア渓谷という美しい渓谷があって、滝つぼで泳ぐことができました。

Img_0300 この滝と谷全体は、いったんテーマパーク化されてしまっていたのを、ハワイアンの人たちががんばって土地をトラストとして買い戻して自然公園に戻したそうです。それがつい2006年のこと。

滝つぼで泳いで、この谷の風に吹かれたときが、実は今回のオアフ島滞在の中で、一番幸せを感じた時間でした。なぜか泣けた。。。

帰国してからググったら、この谷はもともとワイアンのカフナ(古代ハワイの神官)が代々統治してきた場所だった、とありました。800年近く、カフナがこの谷を守り続けてきたそうです。別名「カフナの谷」として知られるほどの聖地に、かつては軍用施設がつくられたこともあったとわかってびっくりしました。テーマパーク時代もかなりな使い方をされていたみたい。

この谷は、今はハワイの自然や文化について学べる場になっていて、広大な敷地の中をさまざまな植物に会いながら歩いていけるようになっています。昔の暮らしを偲べる復元住居などもあったり。ヘイアウ(神殿)も、かつての場所に復元されていて。

遊歩道には途中「Cultural Practitioner」と書かれたブースがいくつかあって、そこで係の人にハワイの伝統文化についてデモンストレーションしながら教わることができるようになっていました。

滝へ向かう手前のところで、以前博物館で目にして気になっていた、昔のハワイのキャンドルがブースにあるのが見えて、お話を聞いてみました。

Img_0291 石うすのような入れ物の中にさしてある、このおだんごみたいなのは、ククイの木の実。これは展示用なので殻をはずしてないけれど(はずすと小鳥が来て食べちゃうから)、本来は殻をはずして使います。上端の実に火を灯すと、1粒3〜6分くらいのあいだ灯って、下の実に燃え移り、そうやって串1本でしばらく燃えるようになっているそう。

実際に灯してみたいなあ。。!どのくらい明るいんだろか。ククイの木は英語ではキャンドルナッツ・ツリー。そのまんまな名前だし、やっぱりキャンドル並みに明るいのかな。と思って調べたら、実際に実を灯してみた動画がありました。ほんとにキャンドル並みでした。この実はじゅずつなぎにして正装のときのネックレスや腕輪にも使われていました。気持ちのいい手触りの実。

Img_0292 ククイキャンドルのとなりにもいろいろ並べてあったので、尋ねてみると、ただの丸い黒い石に見えたものは、フラを踊るときのカスタネットでした。2つの石を片手に持って打合せると、なるほどいい音がしました。帰りの飛行機で見た『ハウマーナ』というフラがテーマの映画で、たまたまこの石のカスタネットを鳴らしながら踊る人たちを見ました。ゆったりした踊りだった。。。

この石は、そこらへんのてきとうな石でいいわけではなくて、フラの踊り手一人ひとりが、自分で探しに出かけて、自分の手に合う石に出会わないとなんだそうです。

Img_0297 小さいたいこは、腿にゆわいて固定して、草を編んだバチで叩くもの。たいこの革は昔はサメの革を使っていたそうです。

ほら貝も、ほんとうに貝のはしっこを切り落としただけのものだけど、立派な音が出ました。

シンプルで美しい道具ばかりでした。

Img_0302 テーマパーク時代はエンターテイメントのためのダイビンングショーが行われていたこの滝。今は地元のみなさんに大切にされていて、静かで穏やかな場所でした。

滝つぼで泳いで上がったときに、地元の小学生らしきグループが、先生らしき人たちに連れられてやってきたかと思うと、ひとしきり滝に向かって熱心にチャントを唱えて、それからみんなで水に入っていくのに出くわしました。

しばらく後で、またこの子たちのグループに遭遇したのだけど、そのときは大きな緑の木々に囲まれたところで全員でフラを踊っていました。男の子も女の子も大きい子も小さい子もみんな。踊るってこいうことなんだな、とちょっと思った。

Img_0315 ほんとうに美しくて、ゆたかさを感じる谷でした。

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2017年04月02日

オアフ島の海に

Img_0302 ひさしぶりに遠くへの旅に出ていました。ハワイのオアフ島へ、大家族でのお祝いの旅行で、最後に数日間パートナーと2人で延泊しました。

オアフ島は若い頃に1度行ったきりで、そのときのワイキキの印象があまりよくなくて、格別行きたい場所ではないと思ってきたのだけれど、今回、その先入観が溶けたのでした。ワイキキは確かに自分にとって大変な場所だけれど、オアフ島のほかの場所、海や谷や滝や田舎街は、とても広大で、やすらかで、ゆたかでした。

それとやっぱり、地元の方々が、朗らかでやさしい。。。これも身に浸みました。ハワイの地にはやっぱり、アロハのスピリットが根付いているみたい、と思いました。

旅の前までかなり仕事が忙しくて消耗しきっていたので、旅の間もともするとすぐ頭が緊張しがちになったりしたけれど、でもやっぱり、海に、谷に、滝に、風に、花に木に人に小鳥に魚に海亀にイルカに、よくしてもらって、助けてもらったように感じています。

Img_0518 海は、なかでも、とくべつでした。以前、ビッグアイランド(ハワイ島)のホナウナウにあるツーステップスというポイントで泳いだときもそうだったけれど、今回も、海に入ると、すごくやすらぎの感覚がやってきました。

足が全然つかない深さの海なのに、まったく不安感が出てこないばかりか、むしろ安心感が増すという不思議。。。

今回入ることができたのは、ハナウマ湾と、ワイアナエ港からカタマラン船で出た沖、そしてノースショアのワイアルア湾でした。

* * *

Img_0515 ハナウマ湾は人気のシュノーケルスポットだけれど、ビジターに対しての入水前のオリエンテーションも徹底していて、この湾の自然を懸命に守ろうとしている方々の想いを感じられたのがよかった。。

Img_0511 おちゃめな顔をしたフムフムヌクヌクアプアア(ハワイの州魚)、ポーヌフヌフ(パロットフィッシュ)という大きな虹色のお魚、モアという水玉の小さいフグ、プアルという淡い青のボディがきれいなお魚。。浅いところでもほんとにいろんなお魚が泳いでいまいした。縦じまのひらひらしたマニニというお魚の群れとはしばらく一緒に泳ぐはめにもなったり。。。魚たちは人が居ることに慣れっこになっているのか、ほんとにマイペースで。。。居合わせてもらえて楽しかったです。

相方も、最初水に慣れるまでは不安そうだったのが、最後には「楽しかった!」を連発していました。シュノーケル好きの兄もよろこんで、水中で使えるカメラでたくさん写真を撮ってくれました。

* * *

Img_0516 ワイアナエ港の沖は、イルカと会うツアーに参加して、行くことができました。野生のイルカ(スピナードルフィン)に会ってもいいらしいことに、まずは、どきどきわくわくしましたが、オアフ島の西側の地域にあたるワイアナエ地区は、ハワイアンミュージシャンのIZさんゆかりの地域でもあって、行ってみたい気持ちがあったので、それもツアー参加の動機になっていました。

ワイキキを出て、西へ西へと車が走っていくにつれて、空が広くなって景色が大きくなっていきました。背の高い建物が1つもなくなって、緑色の山肌の丘が見えてきました。もともとのハワイはこんな感じだったのかな?という風景。

ワイキキは、最初王族の保養地で、タロ芋が育てられたり、池で養殖がされたりしていた場所だったのが、中国からの移民の時代には水田になって、そのあと、西洋の人たちが埋め立ててリゾート地にした場所だと聞きました。ワイキキのビーチの白砂はカリフォルニア州から運んだ、とのこと。

ハワイが西洋人の手に渡るまでの経緯をたどればたどるほど、胸つまされる自分がいるけれど、そういう過去の歴史だけじゃなくて、現在も同じ構造は続いていて、富裕層の移住者がハワイの土地を高騰させているらしく、地元ハワイアンの人たちの暮らしが圧迫されて家のない人たちが出てきているそうで、そうした人たちが少し前まではワイアナエのビーチなどで家族でテント暮らしをしていたと聞きます。が、テントは見当たりませんでした。今は当局の政策で、人目につくところで野宿できなくなっているらしく、内陸部のほうに移動しているか、シェルターに入っておられるとのこと。でもシェルター暮らしは不自由が多い、と聞きました。(このに、詳しく書いてありました)。

そして自分もやっぱり外からの訪問者としてここにいるわけで……。野生のイルカに会うツアーについても、ワイアナエ沖の浅瀬を休息の地として好んでいるイルカたちにとって、そこへ連日人間が乗り込んでくるのは、どうなんだろう、というのがありました。イルカには会ってみたいと思ったけれど、野生動物の生息地に入り込んでいいのかどうか……。気になって少し調べたら、Wild Dolphin FoundationというハワイのNPOが、イルカツアーのあり方についてかなり懸念を示している文書があって、イルカツアーの認証システム(イルカにやさしいツアーであることを示す認証)が機能していないことを憂いでいたので、イルカツアー参加は見送ろう、と一度は思いました。

でも、いくつかのツアーが載った雑誌をぱらぱらと見ていて、シーハワイというツアーオペレーターが気になりました。認証マークがついていないツアーをしていて、NOAA(アメリカ海洋大気庁)が制定した基準を守って野生のイルカに接している、と書いてあったのと、ツアー内容がイルカウォッチングと、イルカのポイントとは離れた場所でのシュノーケルのみで、カヤックとか他の派手なアクティビティを盛り込んでなかったので、もしかしたらここならいいのかも?と思いました。

シーハワイの会社のサイトを見たら、オアフ島のイルカツアーのオペレーターのうち唯一ハワイ出身者が経営する会社だとありました。あと、ツアーの収益の一部がシーハワイ財団に寄付されて、海洋科学の分野を専攻していきたい地元の高校生向けの奨学金に充てられるとあったので、それも大きかった。。。

いつも相談している、ハワイの動物たちのカードに、このツアーへの参加についてたずねると、そのまま「イルカ」のカードが出ました。アロハという意味のカード。

そんなわけで、実際に参加してみたのでした。船の上からでもイルカに会えるみたいだよ、ということで、泳げないし足のつかない海はNGな姪っ子たちも、みんな一緒に参加しました。泳ぎの得意な甥っ子と姪っ子は水に飛び込んで、甥っ子のほうは特に水を得た魚のようにのびのびと泳いで、生き生きとしていたっけ。。。

Img_0519 陽気なガイドさんたちに率いられて、開放感いっぱいのカタマラン船に乗り込み、ワイアナエ港を出てしばらく行くと、まずはシュノーケル・タイムでした。船の上から海亀が泳いでるのが見えました。ときどき頭を水上にもたげる様子がかわいらしかった。。

船のはしごを降りて海へと入ると、ふわりと開放感に包まれました。

こんなに沖で海に入るのが初めての相方は、最初不安だったみたいだったので、慣れるまで、しばらくそばについて一緒に泳ぎました。

Img_0506まわりには、あざやかなレモン色のお魚(レモンバタフライとも呼ばれる、ハワイ固有のバタフライフィッシュらしかった)がいっぱ泳いでいました。フムフムヌクヌクアプアアもいた。

たっぷり30分もそうやって泳がせてもらえました。そのあとはイルカのポイントへ移動です。

イルカポイントでのふるまい方の注意事項を聞いて、今度ははしごではないところからぽちゃんと飛び込みました(早くみんなで入水するためみたいでした)。

Img_0509 1度目のときは、ちょっと忙しい感じでしたが、2度目に入ったときは、下の方をゆるやかに泳いでいくイルカのみなさんをぼおっと見ていることができました。イルカのみなさんとこうしてそこに居合わせていると、自分の両足も交互に動かすのでなくて、ゆるゆる版ドルフィンキックみたいなふうにしたくなりました。両腕を背中のうしろで組みたくなりました。そしてなるべく静かにしていたくなりました。

Img_0508 野生動物なのに、ぜんぜんそういう感じがしないし、怖くない、というのが不思議でした。ハナウマ湾のお魚同様、人に慣れている、というのがあるのかな。それともこれは、昔からのハワイの人とハワイの生き物とのつながりのおかげなんだろうか? もしかして船長さんやガイドさんたち(ハワイ出身の方も多そうでした)の中に、海洋動物をアウマクア(先祖)に持つ人がいる、とか。。。?

ほんの束の間だったけれど、同じ水の中に居合わせてさせてもらって、つくづく美しい存在だなあと思いました。

でも、日本に帰ってから振り返って、このツアーがNOAAの基準に則していたのかな、大丈夫だったかなと不安になりました。

で、気になってもう少し調べたら、「NOAAの基準」がそのままイルカツアーの認証マークの基準だったことを知りました。てっきり2つは別物だと思いこんでしまっていた。。。でもさらに調べていたら、こんな記事にも出くわしました。なるほど、こういう見方もあるんだな、と思いました。このツアーのやり方がイルカを十分尊重しているからこそ、過去30年、ここでこうしてやれてきているわけで、これはエコツーリズムのひとつの成功例なんじゃないか、とこの水中カメラマンの方はおっしゃっていました。

シーハワイの船長さんもガイドのみなさんも、どの方もとてもやさしくて朗らかで、海を、イルカを、傷つけるようなことをしたいはずがないのは明らかでした。シーハワイではツアー参加者全員に、NOAAによるスピナードルフィンの生態についての文書を翻訳したものも配っていました。そこには、日中はイルカにとって休息時間であることもちゃんと書いてありました。

NOAAは野生のイルカとの接触を規制しつつ、「イルカと泳ぎたければ捕獲されたイルカと泳ぐように」と言っているらしいけれど、イルカの側からすると、これは誰かしらが犠牲にならないといけないことを意味しているわけで。。。バードウォッチングを全面禁止して、かわりに1羽を捕獲してそれを見るように、となったら、やっぱりそれは違う気がします。私が鳥だったら、仲間の1羽が捕えられてしまうよりは、自分たちの本来のあり方を尊重してくれる人がガイドをつとめるなかで、生活圏に少しの間入ってこられるほうがいいような気がする。自分たちの身に行動の自由がある中で、その場を束の間共有する、というほうが。。。

Img_0507 イルカのコミュニティがどう感じているか、なにが、どこまでがハラスメントになるのかは、ほんとうのところは各自のイルカに聞くしかないけれど。。。海で少しだけ一緒に居させてもらえたこと、とてもうれしかったし、ありがとうの気持ちです。イルカのみなさんも、贈り物をくれるみたいにそこにいてくれたのなら、そこまで耐えがたきを耐えていたわけではないなら、いいなあと思う。。

そしてイルカ以外の、ハワイのみなさんにも。。おじゃまさせていただいて、ハワイのいろんな部分を見せていただいて、感じさせていただいたことに、ありがとうの気持ちです。

* * *

Img_0361 最後に行った海、ノースショアのワイアルア湾は、冬の時期は波が大きいことで知られる屈指のサーフスポットです。もちろん、この時期にサーフィンできるのは腕のあるベテランサーファーだけ。

すごい大波だと聞いていたので、ノースショア滞在中は海に入るなんて無理だろう!と思い込んでいたら、お世話になったおうちの(きゃ)さんが「いや、泳げるところあるよ、このへん」と地図で教えてくれました。

すぐ向こうは大波エリアなのに、同じ湾の逆側は静かで、小さい子どもたちが大勢、楽しそうに泳いでいました。

週末だったせいか、地元の人らしき人たちがテントを建てて浜辺のそこここでのんびりしていました。いい感じのゆるさ。

Img_0341 大波に乗るサーファーのことは、いつまででも見飽きませんでした。ぼーっとながめてしまう。。

Img_0215 オアフ島は小さい島なのに、ほんとうにいろんな表情があって、懐が深いなあと思いました。海と、緑の山々と、谷と、人と、生き物のみなさんに、ありがとう。

次は谷の話でも。。。








* * *

前回ビッグアイランドのホナウナウで泳いだときの記録がふと出てきたので、ここに貼っておくことにします(自分用防備録)。

旅から帰って、半日ともだちとえんえんおしゃべりして過ごして、やっと落ち着いてきた。。。旅のあいだは感じることが多すぎて、ことばにも絵にもならない日々でした。

最後に滞在した有機農園のコナコーヒーの豆を挽いて、コーヒーを飲んでるなう。他の植物に混ざって斜面に植わって、たわわに緑の実をつけていたコーヒーの木々を思い出しつつ。。。いろんなことがあったけど、あのエリア(ビッグアイランドのサウスコナのホナウナウ)は、ふしぎとピースフルで、ものすごく休まった。農園のおかみさんにそう言ったら、自分も最初ここに来たときにそう感じたのよ、同じように感じているんだね、と言われた。

ホナウナウの湾で、日焼け止め不要の遅い午後に少し泳いだとき、水から顔をあげるたびに目に入って来る陽の光がキラキラきれいでした。ツーステップとよばれる場所で、文字通り岩が2段、階段状になっていて、その先はぐーんと深くなり、海底にはごろごろとサンゴ。地元の子どもたちらしき子たちがおおはしゃぎして岩から飛び込みをしたりバシャバシャやったりしてたけど、はしゃいでいてもちっともうるさくなくて不思議だった。かなり深いところを泳ぐときは、いつも最初は少しびびるのに、この湾では最初からおおいなる安心感の中で泳いでいて、ちっとも怖くなかったのも不思議でした。

ビッグアイランドにはいろんなことがあるけど、それらをおおいなるなにかが、ものすごく寛容に包み込んでいるような気が、やっぱりした。


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posted by な at 18:26| Comment(0) |