今月初めの連休は、岐阜・美濃市でさじフェスに参加してきました。スプーンづくり一色の3日間、濃かったです。。 :)
近年自分はすぐいっぱいいっぱいになりがちで、今回もそうだったけども、でもやぱり行けてよかったな、とじわじわ感じてるとこです。
スウェーデンから生木の木工(グリーンウッドワーク)をされるヨゲ・スンクヴィストさんが来日して、森でスプーンづくりにいい木を探すところからスタートして伐採→割って→斧ではつって→ナイフで削って、という一連のスプーンづくりの工程を見せてくださいました。そして10種類のナイフワークを教えてくださって、最終日はみんなでスプーンを削ってみました。
前にマイクさんの森の工房で、アシスタントのジョージョーさんから教わったナイフワークは、この北欧の伝統の(ヨゲさんがお父さんから受け継いだ)ナイフワークだったのでした。ジョージョーさんが教えてくれたのは確か5種類くらいだったけど、今回また別なグリップも教わって、北欧の木削りの奥深さに改めて感心しました。
ヨゲさんのお父さんのヴィッレさんは御歳92歳。あまり腕力がなくても削れるゆえに現在ヴィッレさんが多用しているという、skewとよばれるナイフグリップなども教わりました。このグリップは子女にもよいのではないかなーと思った。。
ヨゲさんのつくるスプーンは、ひとつとして同じものがない、とのことでした。それというのも、材によってデザインが影響を受けるから。その材がどんなふうになりたがっているか、によって違うふうになっていくのでした。木目、木の繊維をなるべく断ち切らないことで強度と軽さを両立させていく木取りのしかた、ほんとーうに好きです。木と人のコラボレーションのような。。。そしてスウェーデンの民具の伝統的デザインに影響を受けているカラフルでかわいい彫り模様も、めちゃくちゃすてきです。
スウェーデンのslöjdとよばれる木工の伝統は、そもそも、生活の中で必要な道具を身の回りの木々から手作りしてきた伝統で、なんとういか、かつてはふつうにみんながやっていたことのようでした。
ヨゲさんのお父さん、ヴィッレさんが木削りにのめり込んでいったきっかけもとってもおもしろかったのだけど、木削りが生活するうえでのたしなみのようなものだったからこそなのか、ヴィッレさんが家の中で木削りをして木くずを散らかしても、ヴィッレさんのお母さんは一度も文句を言ったことがなかったそう。
そんな連綿と続くslöjdの伝統から、ヨゲさんがもっと自由になって、ものづくりをもっと独自に展開するきっかけになったという、9歳の娘さんとのエピソードもすてきでした。
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さじフェス2日目には日本のスプーン・杓子づくりの職人さんたちお三方の講演と実演もあって、すごかった。。三人三様で、とても興味深かったです。職人魂にぶっとばされ、はるか遠くにとばされすぎて、「自分はこんなとこに来ちゃいけなかったかも」という場違い感にさいなまれもしたけれど。。。そんなすったもんだしつつも、持ち帰れるインスピレーションはたくさんいただけました :)
日本古来の生木の木工、有道杓子づくりを継承されてる奥井京介さんが、杓子の材料にされてる朴の木との関わりをなんというかホリスティックにお話しくださったのが、今でも印象に残っています。
秋になって朴の木の大きな葉っぱが落ちると、地元のおばあちゃんたちはそれを拾って、水に浸けるんだそうです。そして朴葉みそなどに使われる。
朴の木の特質と飛騨地方の気候を踏まえて、奥井さんは杓子づくりは冬のあいだだけするそうです。(今回秋に杓子づくりの実演をしたのは、そういう意味では異例だったんだなあ。。)
地元の方々の生活の中に、四季のめぐりの中に、朴の木と、朴の木を使ったものづくりが位置づけられていることが、妙にうれしかったです。
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2日目夜から相方が合流して、一緒にスウェーデン風のスプーンづくりを体験しました。スウェーデンではバーチをよく使うとヨゲさんはおっしゃってましたが、今回は生木の朴の木で。
初めての斧でのはつりに挑戦しました(ナタと斧のチョイスがあったのだけど、その前の工程で出遅れて、道具を取りに行ったら斧しか余ってなかった汗)。めちゃくちゃ四苦八苦したし、いつものごとく作業が遅くて焦ったりしたけど、でも斧使いのコツを教わって、少し思うように扱えたときには、楽しいな!って実感も来ました。でも、基本ずっと、わーっとなってました。。。
相方はとにかく楽しかったらしくて、そして自分のスプーンをすごく気に入ってるみたいで、なんか、それがなによりだなあって思いました :)
二人とも時間内に完成するとこには行かず。。フェス最終日の翌日はふたりでちょこっと河原で続きをしてみました。せせらぎの音を聞きつつのナイフ作業、楽しかった!まだ終わらなかったけど。。
日本初のさじフェスを企画、オーガナイズしてくださった森林文化アカデミーの久津輪さん、グリーンウッドワーク研究所の加藤さん、アカデミーの学生さんたちには、ほんとにお世話になりました、ありがとうございました。グリーンウッドワークのお仲間のみなさんにも久しぶりに再会できてとっても嬉しかったです :)
物販もかなり充実してたのです(ただ自分に心のゆとりがなさすぎて(汗)あああ。。。。。)
夜の懇親会では大好きな五平餅の作りたて焼きたてをたくさんいただけたり(ナッツの自家製タレが最高でした!)、美濃の豪華郷土料理をふるまっていただいり(みんなおいしかった、こんにゃくが特に最高でした!)、休み時間にはハンモックで寝てみたりできたのも、すてきでした。
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余談。ハンモック寝に関しては、なかなかおかしかったのでした。
今回テント泊でなくコテージ泊にしましたが、せっかくなのでハンモックと寝袋、シュラフカバー、エアマットだけ持参して、1人で泊まる一泊目は初めてのハンモック泊をしてみようと思い立ちました。
雨の予報はなかったけど、念のため、東屋のようなとこにハンモックを吊りました。前夜は夜行バス泊であまり寝てなかったので、わりと早めの時間に寝袋にエアマットを仕込んでハンモックにイン。寒いと思ってかなり厚着をして、万全に。。そしたら暑すぎた^^;
前日まで寒かったのに急にあたたかくなったのでした。あついなーと思いつつ、しばらくいたら、蚊がやってきて。。ぶんぶん周りを飛ばれて、顔をさされたので顔をシュラフカバーで軽く覆って、全身覆われたかたちで少し寝ました。
ときおり、コトンと、どんぐりの実が木から落っこちてきて音を立てていました。あとは木々のさやぐ音。ハンモック寝に慣れないうちは少し窮屈に思ったけど、ふっと体がゆるんだときがあって、そしたら逆にすごく楽になって、寝返りの必要を感じないくらい快適な体感がきました。これは意外でした。
しかしやっぱり暑くて、しばらくして寝袋の中でウールの靴下を脱ぎ、それからシュラフカバーをはいで、上半身を寝袋から出してみたら、ハンモック越しに微風が気持ちよかった。向こうの山々の気配も。
で、なぜか、「もう蚊に刺される気がしないぞ」という万能感が来て、そのまま寝ました。
そして。。夜中1時前くらいだったかな、痒みで目覚めました。あの万能感はなんだったんだ^^;
で、二連夜寝不足はさすがにまずいので、大人しくコテージの部屋に撤退しました。。。
この季節、もう蚊はいないと思ってたけど残念でした。もすこし寒くなったら、またやってみたいですー。