今年も、東京・佃島に伝わる古い盆踊りに、おじゃましてきました。
ここの盆踊りは、実にすてきで、地元の方たちも「ご覧のとおり簡単な踊りですから、おみやげにどうぞ踊って帰ってください」と外部の私たちを快く輪の中に入れてくださいます。
隅田川に面した、民家の立ち並ぶ広い道に、やぐらを立てて、ぼんぼりを吊ってあります。おじいさんが1人、やぐらに登り、たいこをたたきながら、えんえんと、うたってくれます。ゆったりしたうた。踊りの振りは、とてもシンプルで、ゆっくりしていて、老若男女みんなで踊れます。
踊り場の、川に近い側の真ん中に、無縁仏を祭る小さな祭壇がしつらえられています。夏野菜がどっさりをお供えしてあり、そこでみんな手を合わせてから、踊りの輪に入ります。小さい小さい子供たちもみんな手を合わせる。祭壇の前には時に行列ができたりします。
曜日に関係なく、毎年7月13日から15日の3日間行われます。踊る人の都合で週末にずらす、なんてことをしないのは、やっぱり、無縁仏の供養として踊る、ということが大事にされているからだと思います。
佃島は隅田川の流れの分岐点にあるので、上流で災害があったときに死体が漂着したんだそうです。江戸時代にあった大火事や、東京大空襲のときに、被害に合われた方たちの亡骸が流れ着いて、ここで供養されたとのこと。
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踊ることがメインなので、出店などはありません。道沿いの駄菓子屋さんと酒屋さんの軒先で、ビールやラムネが売られているだけ。
私とパートナーも、ここの盆踊りが好きで、ほぼ毎年、おじゃましています。今年は、はじめて、子供の踊る時間に間に合いました。はじめは小学3年生くらいの男の子1人とあと数人の小さい子が、踊るでもなく踊っているだけで、「わ、こんなに寂しいのかな?」と思っていたのもつかの間、川を眺めてからまた踊り場に戻ってみると、もう大勢の子供たちが列を作り始めていました。
そして日が暮れるとどんどん子供たちが増えてきて、最後には輪を最大限大きくしても、場所によってはきゅうくつそうなくらい。ものすごい人数の子供たち(就学前の小さい子から中学年くらいまでの子たちが100人近くいたかも?)が、合いの手を入れながら、えんえんと同じ踊りを踊り続けていました。あまりのにぎわいに、ひたすらびっくり。
めちゃくちゃに踊っている小さい子には、少し大きい子が教えてあげていたり。男の子も女の子も、友達同士でおしゃべりして笑いあいながら踊っていたり。色とりどりの浴衣もかわいくて。かと思えば、サッカーウェアみたいないでたちで、もくもくと1人、踊りに入り込んでいる小3くらいの男の子もいました(彼は踊りが本当にすきなんだろうな)。
かれこれ1時間以上、子供たちは休みなくずっと踊っていました(子供踊りではさすがに生うたではなくて、おじいさんのうたのテープに合わせて太鼓をならしてました)。ずっと見ていてもぜんぜん飽きなかったから、踊っている本人たちもずっと楽しかったんだろうなあ。。。
大人の踊りの時間になって、私たちも、休憩時間以外はずーっと、踊り続けました。振りのステップの関係で、なかなか前に進まない踊りです。でもじっくり踊っていると、左回りの輪でできた場が、だんだんと練りあがってくる感じがあって。それが気持ちいい。。。
9時までの予定が、おじいさんのうたがなかなか終わらず、世話人らしきおじさんが、マイクで「そろそろ時間ですので。。(汗)」となんどか催促。そんなやりとりも面白くて笑ってしまいます。確かおととしは、江戸っ子なおばさんたちがやぐらに向かって、冗談だか真面目だかわからない勢いで「もういいかげんにしなよっ」とか言ってた記憶があります。
「ここの盆踊りはいろいろやらないのがいいのよね」と話していた外部のおばさんたちがいたけれど、同感でした。
帰り道、ここだけじゃなくて、いろんなところでこの盆踊りをやったらいいのになあ、と夢想しました。