「有害鳥獣特措法」というものが、昨日、衆院で可決されてしまい、明日13日の参院で成立する見込みだそうです。
里にクマやイノシシなど、野生動物が出現して、農作物を食べたり、お年寄りを脅かすようなことがたくさん起きていて、その対策として出された法案でした。町村職員にライフル銃を持たせ、市町村に「有害鳥獣捕獲隊」をつくる、ということです。
鳥や獣たちを「有害」と呼んで、「駆除」するという対症療法的なアプローチ。
でも、どうして鳥や獣が里に降りてきてしまうことになったのか、といえば、その原因をつくったのは、わたしたち人間でした。。
実のなる木やねぐらになる巨樹のあったゆたかな自然林を、林業のために杉やヒノキしか生えていない人工林にどんどん変えてきました。その結果、動物たちは住処や食べ物がなくなって、困って困って里へ降りてきて、撃ち殺される。。。日本のクマはすでに絶滅寸前だそうです。
日本熊森協会さんの「クマともりとひと」という小さな冊子を読んで、このことが、よく、わかりました。
(この冊子は、このことについてよくわかる、というだけではないです。わたしには、ひとつの大きなドリーミングが立ち上がった瞬間のストーリー、POPでいう「myth」のようでした。。。涙なしには読めませんでした。)
正直に言うと、わたしは、数年前まで、緑色の植物があればなんでも「自然」だと思っていました。ずーっと広がる牧場でも。杉ばかり生えている山でも。
でも生物の多様性がなくなって、人間が決めた生き物だけがそこにいる(牛や杉)という場所は、たとえ緑色をしていても「緑」ではなく、「自然」でもないのでした。
生態系を壊して、生き物の多様性を損なっていけば、人間も遅かれ早かれ生きていけなくなりますね。。。動物たちが住めるような奥森がなくなれば、やがては水が細って枯れます。。。
実際ブラジルのあるところでは、紙の原料にするユーカリのプランテーションが拡大した結果、大きな湖がまるまる干上がっていました。土地の人の暮らしも厳しくなっていました。これはユーカリがとても成長の速い木なので、水をたくさん吸い上げてしまうためでもあるけれど、ユーカリの林にも、ほかの生き物は不在でした。(岡村淳さんのドキュメンタリー『緑の砂漠か緑の再生か』で見ました)。
* * *
「駆除」ではなく、里での「被害を防ぐ工夫」を考えて、そして、放置されて荒れているばかりの人工林の木を切って、広葉樹を植えて、動物たちが帰れる森が再生するプロセスを手伝う、という活動が広がりをみせているところに、こんな法律ができてしまうのは、ほんとに残念です。
どうか、法律ができてしまっても、「駆除」の方向にことが進んだりしませんように。森に自然なあり方を返せるほうに、向かいますように。
森と、動物や虫は、お互いに依存しあっていて、動物や虫のいない森は、森として機能できなくなる、ということ。。。「害獣」と呼ばれる動物たちは、森にとって、本来は生命線だったはずで。。。
あまり人目に触れる機会のない拙作をご覧いただけたのですね。<br />
ご紹介いただきまして、ありがとうございました。</p>
書き込み、ありがとうございます :)<br />
はい、さいわいなことに、あのさくひんは2回、見せていただくことができました。<br />
撮影されたときからずいぶん経ちますが、あれからあの地域がどうなっているか、気がかりです。</p>